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【スポクラコラム#6】日本のスポーツビジネスが狙うべき市場


日本のスポーツ市場の成長への示唆

欧米のスポーツスポーツが巨大化した背景について紹介した。そこからわかることは、マクロ的な環境変化の中でビジネスプレイヤーとスポーツプレイヤーが相補的に協力してお互いのビジネスの発展に尽くしてきたということだ。


これは「優れたビジネスリーダーがそうしてきた」とも言えるし、「そうせざるを得ないほど欧州や米国の製造業の地盤沈下が激しく、次のビジネスを挑戦せざるを得なかった」とも言える。


そして今、日本も少子高齢化がどんどん進み、かつての主力産業が国際競争力を失って行き、低成長を続ける中で、新たな成長戦略が求められる時代にさしかかっている。

こういった中でスポーツ産業の発展という点で考えるよりも、「スポーツを活用し、新しい産業クラスターや産業都市を構築する」といったもう一つ大きな視点で物事を考えていく必要がある。


この市場形成においては、従来の「親会社やスポンサー企業がスポーツ事業者を協賛する」といったスポンサーシップモデルでは限界がある。


今後は企業、スポーツ事業者、自治体(都市)などがパートナーシップを組み、スポーツを通じて日本経済や社会の課題を解いていく「パートナーシップモデル」にどれだけ移行するかが鍵になるであろう。




スポーツが成長できる市場はどこにあるか

ここで有力なスペース(新規開拓できる市場)は3つある。



1)協働で新規市場を創造する

スポーツを活用し、街づくり(都市再開発)や新たなスポーツツーリズム需要を生み出す、鉄道会社が沿線のスポーツ習慣を増大させ、スポーツを活用したコミュニティ型外出需要をつくり出すなど。



2)スポーツ領域の民営化

スポーツ施設の多くは公共施設であり、部活などの多くのスポーツサービスは学校で提供されている。つまりこの巨大な公共ハードと公共サービスの領域の民営化は、かつて国鉄の民営化、通信の民営化、郵便事業の民営化によってその領域の市場が成長発展したように、大きな市場を生み出すポテンシャルがある。



3)スポーツ輸出(輸出+インバウンド需要)

欧米スポーツはトップスポーツがグローバル化を見せているが、日本がまだ優位性があるのは実はプールなどの施設管理や、スポーツターフの管理技術、学校体育におけるスポーツ指導のハードとソフトの一体化したサービスなどである。こういったものをアジアやアフリカの国が求めているという需要がある。 ここにおいては、これまでのように輸出をしていくというビジネスモデルもあるし、スポーツの「メッカ」や「資格取得講習」「スポーツビジネスパーソンの養成スクール」などの機関を設置し海外から多くの人材を呼び込むというインバウンド型のビジネスも可能性がある。


最終的にここでねらっていくのは、インド洋を中心としたアフリカ、中東、インド、東南アジア、中国、オセアニアに広がっていく「環インド洋圏」の49億人の人口市場である。

これらの国は、急速に先進国化していき、その先には日本と同じように成熟国家となっていくことであろう。


先に少子高齢化の成熟国家になった日本がいち早く「課題先進国日本」として、スポーツで教育や労働、高齢化などの問題を解決していけば、そのソリューションを欲しがる地域は自然と増えていくことになる。


少なくとも、このぐらいの大きなビジョンや成長戦略を持って、企業とスポーツプレーヤーが新しいパートナーシップを組み、お互いが持てるものを先行投資していくことが、今の日本に求められることであると思う。


また、これこそが東京2020の最大の経済的レガシーであると思うのだが、いささか風呂敷を広げすぎであろうか。


新年にあたり、今回の提言が、スポーツと企業の新しい関係性を考える何かのきっかけになれば幸いである。

執筆者

石井宏司

株式会社スポーツマーケティングラボラトリー コンサルティング事業部

執行役員


東京大学大学院卒業(教育学修士)。研究テーマはインターネットと教育、オンラインのラーニングコミュニティ生成について。1997年にリクルートに入社。インターネットの新規事業、他社との事業アライアンス交渉、地方創生コンサルティング、メディアによる地域活性ビジネス、企業再生コンサルティングなどに従事。2009年に野村総合研究所に経営コンサルタントとして入社。経営改革、新規事業、企業再生などのテーマでコンサルティングを行う。2014年頃よりスポーツを中核とした都市再生や新成長産業としてのスポーツ産業の成長支援に携わるようになる。

スポーツ庁未来開拓会議提言、大学スポーツ改革検討会議委員、スポーツ庁技術審査員、沖縄スポーツ産業クラスター形成実行委員、大阪経済大学客員講師(スポーツ情報学)、関西財界セミナー2016スポーツ分科会問題提起者、Sports Analytics Japan2016, 2017実行委員、日本女子プロ野球機構事業理事などを歴任。現在に至る。

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